歯周外科治療はどのようなときに行う?歯周外科治療の目的と内容について
皆さま、こんにちは。
宝塚市東洋町の歯医者【宝塚いしもと歯科】です。
「歯周病」は、メディアでも取り上げられる機会が多く、この病名を聞いたことがあるという方は多くいらっしゃるでしょう。
けれども、実際に歯周病になったときに、「どのように治療するか」について詳しく知っているという方は多くないかもしれませんね。
歯周病は、細菌による感染症です。
一度感染すると自然に治ることはなく、段階的に進行していきます。
歯周病の進行を止めて、症状を改善させるためには、進行段階に応じた治療を行うことが大切です。
ここでは、歯周病治療の一つである「歯周外科治療」についてお話しします。

石本院長
経歴清風高校 卒業
北海道医療大学 卒業
神奈川歯科大学歯学部附属病院にて臨床歯科研修
神奈川県大手医療法人にて勤務
静岡歯科 勤務
医療社団法人愛誠会 東初富アモール歯科クリニックにて分院長として勤務
宝塚いしもと歯科 開院
医院名:宝塚いしもと歯科
所在地: 〒 665-0032
兵庫県宝塚市東洋町5−3
万代東洋町店の敷地内
Contents
歯を残すための専門的な治療「歯周外科治療」

歯周病の直接的な原因は、歯の表面に溜まった歯垢(プラーク)です。
歯垢(プラーク)は細菌の塊で、細菌が出す毒素が歯ぐきを攻撃することで、歯ぐきに炎症が起こります。
細菌は酸素の少ない場所を好むため、歯と歯ぐきの間にできた「歯周ポケット」とよばれるすき間の奥深くに入り込みます。
炎症の範囲は少しずつ広がり、最終的に歯を支えている骨が溶かされて、歯ぐきが下がり歯が脱落してしまうのです。
初期の段階では、原因となる歯垢(プラーク)を徹底的に除去する「歯周基本治療」を行うことで、症状の改善が期待できます。
歯周基本治療では、器具を使って歯の表面に付着した歯垢(プラーク)や歯石を取り除きます。
ただし、歯周ポケットの奥深くまでは器具が届かないため、歯根面に溜まった歯垢(プラーク)や歯石を取り除くことはできません。
歯周ポケットの奥深くに歯垢が残っていると、症状は改善されず、最終的に歯を失うことになります。
歯周基本治療を行っても症状が改善されなかった場合は、「歯周外科治療」へと移行します。
歯周外科治療が必要となるケース

具体的には、次のような状態になっていれば、歯周基本治療では改善されないことが多く、歯周外科治療が必要となる傾向にあります。
歯周ポケットが深い
歯周ポケットとは、歯と歯ぐきの間にある溝のことで、健康な歯ぐきの場合、歯周ポケットの深さは1〜3mm程度といわれています。
歯周病が進行するにつれて、溝は深くなり、4mm未満で軽度の歯周病、4〜6mmで中等度、6mm以上になると重度とされています。
6mm以上になると、歯周基本治療だけでは、歯垢(プラーク)を取り除くことは困難です。
参考:厚生労働省「歯周病検診マニュアル 2023」p3より >
そのため、歯ぐきを切開し、歯根を露出させてから取り除く外科治療が必要となります。
骨の吸収が進んでいる
歯周病が重度になると、歯をさせている骨が溶かされます。
骨が吸収されるにつれて、歯の動揺は大きくなります。
一度溶かされた骨は、自然にもとに戻ることはありません。
歯周基本治療では、骨の再生を促すことはできないため、骨の再生を促す特別な治療が必要です。
歯根が露出している
骨が溶かされると、それに伴い歯ぐきも下がり、歯根が露出します。
歯根は刺激を受けやすいため、歯磨きや飲食の際に痛みを感じたりしみたりするようになります。
歯根が露出している場合は、歯ぐきの再建が必要です。
当院で行っている歯周外科治療
歯周外科治療には、いくつか種類があります。
それぞれの目的と内容について紹介します。
フラップ手術

フラップ手術は、歯ぐきを開いて、歯根面を露出させて、歯の表面に付着している歯垢(プラーク)を徹底的に取り除きます。
歯根面に付着した歯垢(プラーク)を取り除くことで、歯と歯ぐきがくっつくようになり、歯周ポケットが改善されます。
フラップ手術は、
・局所麻酔をして歯ぐきを切開する
・歯槽骨から歯ぐきを剥がして歯根を露出させる
・専門の器具を使って歯根面の歯石を除去する
・歯根の表面がなめらかになるように仕上げる
・歯ぐきを縫合する
といった手順で行います。
処置中は、麻酔をかけているので痛みを感じることはほとんどないでしょう。
歯周組織の多くが失われてしまっている場合、フラップ手術と同時に、歯周組織を再生する治療を行うことがあります。
歯周組織再生療法(リグロス)

歯周病が原因で失われた歯周組織は、自然にもとの状態に戻ることはありません。
薬剤を使って歯周組織を回復させる治療が「歯周組織再生療法」です。
歯周組織再生療法で使用する薬剤には、いくつか種類があり、当院では、「リグロス」を使った歯周組織再生療法を行っています。
「リグロス」は「やけど」などで失った皮膚の再生のために使用する医科の薬剤と同じ成分で、歯周組織の再生用として、2001年に開発されました。
主成分である「bFGF」は、ヒト由来の成長因子で、骨や筋肉などの細胞を増殖・分化させるとともに、血管をつくりだす作用があります。
血管を作り出すことで栄養補給が可能となり、歯周組織の再生が促されます。
歯周組織が再生することで、歯をしっかりと支えられるようになり、歯を残せる可能性が高まるのです。
リグロスを使った歯周組織再生療法は、
・局所麻酔をして歯ぐきを切開し、歯根を露出させる
・歯根面をキレイに整える
・薬剤を歯の周りに注入する
・歯ぐきを戻して縫合する
といった手順で行います。
なお、リグロス法は2016年から保険適用が認められています。
GBR(骨誘導再生法)
GBRも、再生療法の一つで、骨の量を増やす目的で行う治療です。
インプラント治療を行う際など、骨の量を増やしたいときに行います。
骨を造りたい部分に自家骨や人工骨を入れて、特殊な膜で覆うことで、骨の再生を促します。
歯周形成手術

歯周形成手術とは、歯ぐきの形を整えて、歯の見た目や磨きやすさを改善させる治療法です。
歯ぐきが下がると、歯が伸びたように見えて、見た目の印象にも影響をおよぼします。
また、フラップ手術を行ったことで、歯ぐきが下がってしまう場合もあります。
特に、前歯は目立ちやすいことから、歯ぐきの状態回復を希望される方も少なくありません。
そのような場合は、お口の別の部分の組織を歯ぐきに移植する「根面被覆術」によって、改善できる可能性があります。
歯周外科治療で注意したいこと

歯周外科治療は、一般的な治療よりも身体的な負担がかかります。
お身体の状態によっては、治療を受けられないケースもあります。
また、治療後は安静にお過ごしいただくことが大切です。
歯周外科治療を受けられないケース
歯周外科治療を行えるかどうかは、歯槽骨や周辺組織の状態によって異なります。
歯周外科治療を行っても歯周組織の状態を改善するのが難しいと診断した場合は、抜歯をご提案することがあります。
その場合は、患者さまのお口の状態やご要望に合わせて、歯を補う方法を一緒に考えますので、まずはお気軽にご相談ください。
お口の状態に問題がない場合でも、次の項目に当てはまる方は、歯周外科治療を受けていただけない場合があります。
・心臓・脳血管に関係する持病がある
・妊娠している
・喫煙の習慣がある
歯周外科治療は麻酔を使って行います。
そのため、持病や服用中のお薬によっては治療を受けられないことがありますので、どのようなお薬を飲んでいるかは必ずお知らせください。
歯周外科治療後は安静に
歯周外科治療後は、痛みや腫れを伴うことがあります。
痛みや腫れの程度は個人差がありますが、手術後数日間でピークを迎え、1週間ほどでおさまる方が大半です。
痛みや腫れがある間は、飲酒や激しい運動、長時間の入浴など、血行がよくなること、お身体の負担になるような行動は避けましょう。
治療後のお食事は、麻酔が切れたのを確認してから始めてください。
刺激物や硬いものは避けて、ゆっくりと食べるようにしましょう。
指や舌で治療した部分を触ったり、ブクブクとうがいをしたりすると、傷口の回復が遅れてしまう可能性があります。
歯磨きの際もブラシを強く当てないように気をつけましょう。
唾液に混じる程度の出血は問題ありませんが、出血量が多い場合や痛みが強くなる場合は、我慢せずにご連絡ください。
歯周外科治療後は定期的なメンテナンスが必須
歯周病は再発しやすい病気です。
歯周外科治療の後は、歯周病が再発しないように定期的なメンテナンスが必要です。
メンテナンスでは、次のことを中心に行います。
・お口のチェック
・クリーニング
・セルフケアのアドバイス
歯周病は初期の段階では自覚症状が少なく、気づかないうちに悪化してしまうケースも少なくありません。
歯科で定期的にチェックを受けていれば、初期の症状も見逃すことなく、早期発見・早期治療が可能です。
定期検診の間隔は、3ヶ月に1回が目安ですが、お口の状態によって異なります。
症状に応じて適切な受診間隔をお伝えしますので、忘れずにお越しください。
歯周病に関することは「宝塚いしもと歯科」にご相談ください

歯周病は日本では国民病ともいわれるほど、多くの方が抱える疾患です。
4mm以上の歯周ポケットがある方の割合は年齢とともに増加傾向にあり、45歳以上では過半数を占めます。
【宝塚いしもと歯科】では、大切な歯を維持できるように、お一人お一人に合った治療をご提案します。
参考:厚生労働省健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~生活習慣病などの情報「歯周疾患の有病状況」より >
「歯周病になったら歯を失ってしまう」とお考えの方もいらっしゃいますが、早期に発見し適切な治療を行えば進行を止めることが可能です。
また、重症化した場合でも、歯周外科治療を行うことで、歯を残せる可能性が高まります。
できるだけ早く治療を始めることが大切ですので、気になる症状がある場合はお早めにご相談ください。
当院へは、阪急今津線「逆瀬川駅」が最寄り駅で、阪急バス「宝塚市役所前停留所」から徒歩2分、阪急バス「御所前停留所」から徒歩1分です。
お車でお越しの方は、万代 逆瀬川店の駐車場をご利用ください。
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